四畳半神話大系 森見登美彦著
全く、何故私がこんなことを書かなくてはならないのだ。わかった。わかったわかったわかった。わかったよ!えー、コホン。おすすめである。
……何だその目はっ!五月蝿い!文章を書くのなんて得意じゃないんだ仕方なかろう!
何故、何故私の薔薇色のキャンパスライフは幼子が吹くシャボン玉のように、手ですくい取った水道水のように、あるいは、鴨川で等間隔に座り確かめ合ったカップル共の愛のように、儚く消えてしまったのだ。
そして何故、私はこの世で最も唾棄すべき男、小津と出会ってしまったのか。
そもそもの間違いは
1.映画サークル「みそぎ」
2.樋口師匠の弟子
3.ソフトボールサークル「ほんわか」
4.秘密機関〈福猫飯店〉
に入ったことなのだ!
あの選択さえ間違えなければ、薔薇色のキャンパスライフと黒髪の乙女を手に入れ、小津とも出会わず、こんな汚い四畳半にも住んではいないはずなのだ!
…おそらく。
4つの並行世界を舞台に、冴えない大学三回生の「私」が踠き、苦しみ、恋をする。
どうにもこうにも下らなく。それでもなんだかほろ苦い。
そうして、四畳半神話の扉は開かれる。
まぁ、なんだ。私はこの下らない世界が好きなのだ。
もし貴君も気に入ったのなら共に朝まで語り合おう。
天狗ブランでも傾けながら。