サラバ! 西加奈子著

3部作ってちょっと気が重いなあ。僕もそう思ってました。

それでも、直木賞を取ったこの本が気になって仕方がなくて、「嫌だったら途中で止めればいいんだし。」そう思って手にとった本をダメだと思いながらも、道で歩きながらも読んでしまったし、風呂に入りながらも読んでしまって…。
もし、長編の本を読んだことがあまりない、最近読んでない、という方は、ぜひ「サラバ!」を読んでいただきたい。この本だけじゃなく、長編の本も好きになるはずだから。


僕はこの世界に、左足から登場した——

生まれた時から、僕は彼女に振り回されて生きていくことが決まっていた。それは彼女が、人一倍「かまってほしい」という願望に取り憑かれていたからであり、どの場においても一番のマイノリティになることを望んだからであり、我が家をかき回す猟奇的な姉、「圷 貴子」であったからである。

 

イランから日本、カイロ、エジプト、様々な国へと渡り、少しずつ成長していく僕の、出会いを重ねる僕の、別れを経験する僕の。

 

…………僕の、物語だ。

 

——あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。

 

この本は、人生。

 

 

この物語は、一人の男(、あるいは人間)の人生を、そのまま紙に写し出してるみたいなんです。
小説を読んでいるのに、読んでる間、「現実は小説より奇なり」という言葉がなんども浮かんでいる。
そんなこの本を、僕はここにオススメの本としておいときます。